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第35話 静かな場所の意味

Author: 八月 猫
last update publish date: 2026-07-16 09:00:18

 パーティの翌週は、驚くほど普通に過ぎた。

 月曜日は会議。

 火曜日は資料の修正。

 水曜日には事業推進室から追加確認が入り、木曜日は現場側と数字を見直した。

 そして金曜日。

 私の企画は、まだ通っていなかった。

 落ちてもいない。

 ただ、社内のどこかで複数の人に読まれ、検討され、忘れた頃に質問だけが戻ってくる。

「こういう時期が一番落ち着かない」

 昼休み。

 社員食堂で箸を置くと、向かいの朱音が味噌汁を飲みながら笑った。

「告白の返事待ちみたいなもの? 出した後は自分じゃどうにもできないし、相手が何を考えてるかもわからない」

「似てるかもしれないけど、こっちは予算と収益性と社内調整が相手だから、色気が一ミリもない」

「現実的すぎる。でもまあ、返事を急かせない方がいいのは同じじゃない?」

 そう言われると、否定できなかった。

 企画に大きな進展はない。

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